獅子と薔薇-THE LION AND THE ROSES-

谷村新司 獅子と薔薇-THE LION AND THE ROSES-歌詞
1.獅子の時代

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

風に舞う紅い薔薇 獅子の胸に落ちた時
眠りから覚めた獅子は空駆ける雲になる

戦いに敗れた 人にも真実はきっと
あるはずだと思う
犯罪者と呼ばれ命終えた人の愛を
私は信じたい
一億の人の見せかけの愛より
愛する人の為 剣の上の
薔薇を素手で掴んでみせた
それが獅子の まぎれない OH JUSTISE

悲しい時代にこそ
愛は輝きを増す

戦いに敗れた 人も誰かの為にきっと
夜明けを抱きしめた
言葉さえ残さず最後の日を生きた人を
私は信じたい
一億の人の見せかけの愛より
愛する人の為 剣の上の
薔薇を素手で掴んでみせた
それが獅子の まぎれない OH JUSTISE

悲しい時代にこそ
愛は輝きを増す

一億の人の見せかけの愛より
愛する人の為 剣の上の
薔薇を素手で掴んでみせた
それが獅子の まぎれない OH JUSTISE

悲しい時代にこそ
愛は輝きを増す


2.英雄

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

嵐の丘には黒い影だけ
右手にかかげたサーベル見つめて
虚栄も名誉も何もいらない
求めるはただ真実それだけ

ルビーの赤の ワイン口に含めば
英雄たちの哀しみが聞こえ始める
歴史の頂上に一人立つ寂しさを
誰か抱きしめて 抱きしめて
誰が私を英雄と決めた

風雲流れる 空に呼ばれて
寂しさを捨てきれたなら英雄になる
寂しさを捨てきれたなら英雄になる

馬蹄の響きが鎧ゆらして
迫り来る時決断を急がせる
虚栄に生きるか名誉に死ぬか
力の星よ 行く道を照らせよ

ルビーの赤のワイン口に含んで
震える胸に熱き血を注ぎ込んでも
歴史の頂上に一人立つ寂しさを
誰か抱きしめて 抱きしめて
だれが私を英雄と決めた

グラスが砕けて影が動いた
命まで捨てきれたなら英雄になる
命まで捨てきれたなら英雄になる

ルビーの赤のワイン口に含めば
英雄達の哀しみが聞こえ始める

風雲流れる 空に呼ばれて
寂しさを捨てきれたなら英雄になる
寂しさを捨てきれたなら英雄になる


3.青い薔薇

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

冷たい水グラスに入れ
香水を一滴
これを飲み乾せば誰でも美しくなれますか
手のひらの中に包まれた
薔薇の花を愛する
それは棘までも愛せる
勇気がなければ

青い薔薇求める 男の夢が
追いつめる ひたむきに 生きる女を

旅に出れば真実の自分の色が見えてくる
薔薇は紅くより赫く
哀しみを知れば紅はより赫く
冷たい水グラスに入れ
香水を一滴
これを飲み乾せば誰でも美しくなれますか
OH ROSES.......OH
ROSES.......OH ROSES

飾りもなく素顔のまま
生きる女も時に
ルージュひけば鏡の前やさしく変わってゆく
今匂い立つ薔薇の森に
真珠の露が落ちて
静寂の中息を密(ひそ)め
光を待ち続ける

青い薔薇求める 男の夢に
追いつけず涙する 淋しい女も

旅に出れば真実の自分の色が見えてくる
薔薇は紅くより赫く
哀しみを知れば紅はより赫く
冷たい水グラスに入れ
香水を一滴
これを飲み乾せば誰でも美しくなれますか
OH ROSES......OH
ROSES.....OH ROSES.....
BLUE ROSES


4.秋のソナタ

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

突然に涙溢れ 泣き出す小さな目に
いつも通りの笑顔で おまえだけは見送ると
心に決めていたのに……
時間がない何でもいい一言話してくれ
汽車のベルが鳴り出した 耳に残しておきたい
おまえの小さな声を

紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか
女として生きてゆく 母のもとへ
汽車はホームを離れる

こぶしをかみ見つめている おまえが扉越しに
消えてゆく駅のホームに
秋のソナタが聞こえていた

おまえがいた部屋の隅に 小さなグラブ一つ
楽しかった公園の 二人きりの休日を
嫌でも思い出させる

紙切れだけで 愛が裁けるものだろうか
女として生きてゆく 母のもとで暮らす
おまえの日々を

この部屋で思い出だけ 抱きしめ生きてゆける
強い男じゃないことだけは
今確かに気付いている
この部屋の窓の外の おまえが生まれた日の
記念樹を植えた庭にも秋のソナタが聞こえている


5.神のマリオネット

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

今朝来た一枚のハガキ 手から落ちて
静かに目を閉じた祈る母の姿は マリア

勇敢に戦った一人きりの息子
名誉ある戦死だと誰が信じられる?
臆病者だから 誰よりも愛した
彼女以外の誰も 知らない彼の叫び

遠い異国の空の下 銃を抱きしめ見上げた空と
同じ世界の空の下 彼の声さへ聞こえない

悲劇の時代だと歴史は語るだけ
本当の悲しみを若い詩人達よ歌え……

怒りも憎しみも 何も持たない兵士が
戦場で殺しあう 皆んな母から生れて
抱きしめられ乍ら 愛を感じ乍ら
若者になったのに 何故に戦うのか?

遠い異国の空の下 銃を抱きしめ見上げた空と
同じ世界の空の下 彼の声さへ聞こえない

悲劇の時代だと歴史は語るだけ
本当の悲しみを若い詩人達よ歌え……

臆病者だから 誰よりも愛した
彼女以外の誰も 知らない彼の叫び

神よ貴方が神ならば 何故に消せない戦いを
宿命の糸に操られ錆びたナイフで糸を切られる

悲劇の時代だと歴史は語るけど
戦う若者は「神のマリオネット」ではない


6.SA YO NA RA-エピタフ-

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

冬の雨が病葉を濡らして降る
なつかしい名前を刻んだ石に

貴方と共に生きた柔らかな日々を
思えば寂しさはとめどなくつのるけれど
SA YO NA RA 静けさに抱かれ乍ら
SA YO NA RA 貴方に抱かれ乍ら

冬の雨が疲れた肩を濡らして
浸み透る“ひとり”の言葉の意味が

貴方に与えられた限りある日々を
生きれば辿り着くこの石は駅に似てる
SA YO NA RA 静けさに抱かれ乍ら
SA YO NA RA 貴方に抱かれ乍ら

一人で生きるならば生きる意味はない
誰かと生きなければ生まれてきた意味がない
SA YO NA RA いつの日か逢える日まで
SA YO NA RA 私は生きてみます
SA YO NA RA 静けさに抱かれ乍ら
SA YO NA RA 貴方に抱かれ乍ら


7.冬のメリーゴーランド

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

鉛の色した低い空の下で廻り続ける
冬のメリーゴーランド
あの日のにぎわい口づける恋人
いくつもの恋の芽生え見ていた

色褪せた馬車を引く傷ついた木馬達
遠くを見つめては哀しく廻る
誇りある熱い日の想い出を抱きしめて
GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中

ペンキの色さへ落ちた木馬達の誇りの為にも
廻り続けろ GO-ROUND

赤・青・黄色の風船に囲まれ廻り続ける
古いメリーゴーランド
背中に感じる肌の暖かさも今はないままに
ただ廻るだけ

昔は誇り高き騎士と共に走った
胸踊る名誉だけ抱いた木馬よ
帰らない熱い日を想い出にしない為に
GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中

ペンキの色さへ落ちた木馬達の“哀しい舞踏会”
冬のメリーゴーランドGO-ROUND

昔は誇り高き騎士と共に走った
胸踊る名誉だけ抱いた木馬よ
帰らない熱い日を想い出にしない為に
GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中

ペンキの色さへ落ちた木馬達の“哀しい舞踏会”
冬のメリーゴーランドGO-ROUND

GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中
GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中
GO-ROUND GO-ROUND 粉雪の中


8.家路-私が死んだ日-

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

私が死んだ日は 夜明け前から雨だった
ぼんやり灯る街灯の下で じっと空を見上げてた
手首を握りしめた 見知らぬ人の手のひらの
暖かさに溢れ流れた 涙を雨が薄めてく

思いがけない異郷の街の 道端に倒れた時に
柄にもなく祈る真似など……
神を信じた事もないのに
人は皆 泣き乍ら この世界に生まれた
哀しみだけを背負って生まれた
愛も知らずにこの世に生まれた

黄色い雨傘の 老人が見降ろしている
半分閉じた瞳の奥で 無意識に誰かを呼んだ
私は愛されてた 他の誰より父母に
柔らかな胸と広い背中が 私の生まれた故郷

夢も半ばの異郷の街の 道端に倒れた時に
柄にもなく手など合わせた……
神より愛してくれた二人に
人は皆泣き乍ら辿り着く故郷に
愛と心を母に還す為に
そして夢は父に返す為に

人は皆泣き乍ら辿り着く故郷に
愛と心を母に還す為に
そして夢は父に返す為に


9.THE NAME

作詞:谷村新司
作曲:谷村新司

THE NAME 疲れ果て 風吹く丘にひざまずき
THE NAME 問いかける 私の名前の意味を

OH あなたは強い鋼の弓
私に夢を託していた
そして私は放たれた 愛の矢
THE NAME 唯一つだけの形見
胸を震わせ飛び続ける折れる日まで

THE NAME 眠れずに 迎えた朝の静けさに
THE NAME アルバムを 開けばあの日の写真

OH あなたにいつも見つめられて
感じた勇気忘れない
そして私は放たれた 愛の矢
THE NAME 唯一つだけの証明
夢に逢うまで飛び続ける折れる日まで

OH あなたは強い鋼の弓
私に夢を託していた
そして私は放たれた 愛の矢
THE NAME 唯一つだけの形見
胸を震わせ飛び続ける折れる日まで

THE NAME 唯一つだけの形見
胸を震わせ飛び続ける折れる日まで


10.黄昏-ロンドン・デリー・エアー-

作詞:TRADITIONAL
作曲:TRADITIONAL

黄昏の中 風が吹き抜けてゆく
佇む老人の体の中を 想い出が通りすぎてゆく
憎しみあった人との悲しみにみちた別離
涙流し抱きあった恋人の肌のぬくもり
愛すべき人とのかけがえのない食卓の風景
憧憬にみちた旅のさ中に 立ちつくした挫折の夜
歓びの涙と傷心の涙に彩られた
青春の日々は 行きて帰らず

悠久の時間の流れの中を
さまよう木の葉のように

人は時代にもてあそばれながら
絶望と悲しみの中で涙にくれる
されど人は木の葉にあらず
絶望と悲しみの涙の中で 絶えることなく
ささやかな光をみつめている
その光ある限り想いは消えず
その想いある限り人は木の葉にあらず

人は皆泣き乍らこの世に“生”をうけ
そして美しい涙とともに黄昏に還ってゆく
黄昏の中 老人が見ている景色は
すべてが美しく 輝いている……